ラグフッキングとは/About Rug Hooking

現代に伝えられてきたHooked Rugがいつ生まれたかについては多くの説があり論議の的となっていますが、おそらくアメリカに渡ってきたヨーロッパからの移民者達の間で生まれたものと思われています。男達は荒削りな家と家具を作り、女達は家の中を居心地よくするためにラグを作り冬の寒さを凌いだのでしょう。彼らはそれまでのヨーロッパでの文化を思い出し、手近な材料を使ってHooked Rugを作り出したと思われます。その方法は古くはマルコポーロ以前の遊牧民の鞍やマット、ほかに船のマストの暖衛用保護マットにもよく似た手法がみられます。

アメリカ大陸に渡ってきた開拓者たちは長い時間をかけて紡ぎ織ったものは毛布や服にし、その時できた端切れや残り物の毛糸くず、古着などを使って手作りの絨毯を作り出していったようです。

初期のものはリンネルの土台布に、布などをプリーツにしてヒダ状に縫いつけたりしたものなどもありましたが、それらは今日まで残っているものは少ないようです。今のような麻布にフックしていく方法は1854年から1857年に英国製蒸気機械がカルカッタ工場に設置された後、北米で麻袋が一般的なものとなってからと考えられるようです。この麻袋を開いたものに残り布などを糸状に切り、カギ針にはクギ、フォーク、削った骨、釣り針などを使い、あらゆる糸、紐なども布とともにフッキングしていったようです。

デザインは日常的なものが多く、その地方の特色が出ているようです。カナダではビーバーやメープルリーフ、アメリカでは愛国的な鷲のシンボルマークなどがあります。初期のものは野菜や雑草で染め替えられたりして興味深いです。1864年頃にはEdward Sands Frostという行商人が商業用パターンを作り広がっていきました。近年ではPearl McGownやJoan Mushimerなどが美しいパターンを作り、伝統的Hooked Rugの継承に貢献しました。またMary Burtonのように芸術的衝動をラグの中に表現することにおいて、単なるフォークアートよりもっとユニークな芸術的なものにしていこうという動きもあります。

このようにHooked Rugは伝統的文化を持った人々が原始的手段で、自分達や周りの自然を表現していたものでした。いつの時代もオリジナルアートは荒削りで素朴であっても、古い時代の文化の記憶から思いついた洗練された魅力をもってひろがっていくのでしょう。

 

参考資料

Hooked Rugs.A Canadian Tradition

American Hooked and Sewn Rugs by Joel and Kate Kopp

Working in Thrums by Mary Burton